作成:2018年11月15日
法律全般がどうも苦手で敬遠しがちなのですが、技術士には高い倫理観が求められる以上、関連法律を理解することは避けられません。今回は「公益通報者保護法」を取り上げます。
過去問を参照しつつ、自分なりに整理してみました。
公益通報とは、通報対象事実(犯罪行為や刑罰につながる行為)が発生、または発生し得る旨を、通報先に通報することを言います。いわゆる「内部告発」ですね。
通報先に応じて、内部通報(事業者内部に通報)と外部通報(行政機関や企業外部に通報)に大別されます。
公益通報者保護法は、公益通報した通報者が、解雇その他の不利益な取扱を受けないようにする目的で2004年に制定されました。
なお、保護の対象となる通報者には公務員も含まれます。
公務員が負うべき「守秘義務」と「公益通報」は一見矛盾しているように見えますが、消費者庁は下記見解を示しています。
公益通報の内容は秘密に値しない、ということですね。ふむふむ。
国家公務員法第100条第1項等に規定する「秘密」とは、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものと解されています。公益通報等の対象となる法令違反行為は、犯罪行為などの反社会性が明白な行為であり、秘密として保護するに値しないと考えられるため、通報をしても守秘義務に反しないと考えられます。
何でもかんでも通報されることを抑止するため、保護要件が定められています。
通報先によって保護要件は異なっていて、内部通報より外部通報の方が保護要件が厳しくなることは直感的にも理解できます。
外部通報の中でも、マスコミ等の企業外部(行政機関以外)に通報する場合は、以下の2つを満たすことが必要とのことです。
- 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があること
- 次のいずれか1つに該当すること
- 事業者内部又は行政機関に公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合
- 事業者内部に公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合
- 労務提供先から事業者内部又は行政機関に公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合
- 書面(紙文書以外に、電子メールなど電子媒体への表示も含まれます。)により事業者内部に公益通報をした日から二十日を経過しても、当該対象事実について、当該労務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該労務提供先が正当な理由がなくて調査を行わない場合
- 個人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合
【出典: 公益通報となるために必要な事項について|消費者庁】
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