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2018年11月30日金曜日

[一次適性/基礎]製造物責任法(PL法)

作成:2018年11月30日
製造物責任法(以下、PL法)とは、製造物の欠陥によって生命、身体または財産に損害を被った場合に、被害者は製造会社等に対して損害賠償を求めることができる法律です。

技術士第一次試験の適性科目で毎年のように出題されていますし、基礎科目(設計・計画)でも簡単な穴埋め問題が過去何度か出題されています。
PL法の要点を押さえることで、適性科目と基礎科目の両方の得点アップが見込めますね。

PL法でいう「欠陥」とは?


製造物が有している特性通常予見される使用形態、製造物を引き渡した時期等を考慮した場合、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること欠陥といいます

欠陥であるかどうかは、上記のとおり「時期」も考慮の対象となります。したがって、製造業者が引き渡した時期における科学または技術に関する知見によって、当該製造物に欠陥があることが認識できなかった場合、欠陥とはなりません。

PL法に基づく損害賠償を受けるには?


被害者が、「製造物に欠陥が存在していたこと」「損害が発生したこと」「損害が製造物の欠陥により生じたこと」の3つを明らかにすることが原則であり、製造業者や販売業者等の故意または過失を立証する必要はありません

つまり、製造業者等は、製造物の欠陥によって損害を与えた場合、過失の有無にかかわらず賠償する責任がある、ということですね。

なお、PL法に基づき損害賠償を請求できる期間には制限(時効)があります。
具体的には、被害者が損害及び賠償義務者を知った時から3年、または製造物を引き渡したときから10年を過ぎると時効となります。

PL法における「製造物」とは?


製造または加工された動産」を製造物と定義されています。
なので、不動産は製造物ではありません

PL法における「製造業者等」とは?


「製造物を業として製造、加工した者」は当然対象となりますが、「製造物を輸入した者」も製造業者等に含まれることに注意が必要です。
また、いわゆるOEM製品の販売者も対象となり得ます


以上、PL法について整理してみました。
上記内容を押さえておけば、一次試験は大丈夫だと思います。

2018年11月20日火曜日

会長逮捕と公益通報と

某自動車会社の会長が金融商品取引法違反で逮捕された、というニュースが世間を賑わしていますね。
いやぁ、ビックリしました。
途方もない巨額な報酬をもらっておきながら虚偽の報告…ってどんだけセコいねん、とツッコミを入れたくなります。


さて、本件については某自動車会社もニュースリリースを発表していますが、数日前に「公益通報者保護法」に関する記事を投稿していたこともあり、以下の文言に目が止まりました。

某自動車株式会社は、内部通報を受けて、数カ月間にわたり、(中略)不正行為について内部調査を行ってまいりました。
【ニュースリリースより引用】

内部通報なので、通報者は事業者内部に通報したということになりますね。

ニュースリリースの文言どおり受け止めるならば、某自動車会社は通報・相談窓口を整備・運用しており、不利益な取扱いを行った者に対して懲戒処分その他適切な措置を講じたということで、公益通報者保護制度の観点では組織としてきちんと対応できているんじゃないかなぁ、と思ったり。

クーデターでは?という報道もあったりもしますが…。


以上、個人的にタイムリー(?)なニュースということで、取り上げてみました。
技術士試験でも事例として出題されるかもしれませんね。。

2018年11月17日土曜日

二次試験対策の本を買ってみた

一次試験の合格発表はまだ先で、自己採点では一応合格しているんだけど、ひょっとしてマークシートの記入でミスってないかしら…とモヤモヤしている状況ではありますが、そろそろ二次試験に目を向けてみようかなと思う今日この頃です。

というわけで書籍を購入してみました。


技術士第二次試験 合格する技術論文の書き方

2019年度(平成31年度)からの新試験制度に対応!

という言葉に惹かれたのが購入の決め手になったんだけど、まだ一度も実施されていない新制度での試験にどこまで対応しているのか、実際に受験するまでわからないよなーと思いつつ。

三分割展開法」というのも気になりますし、とりあえず読み進めていこうと思います!

2018年11月15日木曜日

[一次適性]公益通報者保護法

作成:2018年11月15日
法律全般がどうも苦手で敬遠しがちなのですが、技術士には高い倫理観が求められる以上、関連法律を理解することは避けられません。

今回は「公益通報者保護法」を取り上げます。
過去問を参照しつつ、自分なりに整理してみました。


公益通報とは、通報対象事実(犯罪行為や刑罰につながる行為)が発生、または発生し得る旨を、通報先に通報することを言います。いわゆる「内部告発」ですね。

通報先に応じて、内部通報事業者内部に通報)と外部通報行政機関企業外部に通報)に大別されます。

公益通報者保護法は、公益通報した通報者が、解雇その他の不利益な取扱を受けないようにする目的で2004年に制定されました。

なお、保護の対象となる通報者には公務員も含まれます

公務員が負うべき「守秘義務」と「公益通報」は一見矛盾しているように見えますが、消費者庁は下記見解を示しています。
公益通報の内容は秘密に値しない、ということですね。ふむふむ。

国家公務員法第100条第1項等に規定する「秘密」とは、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものと解されています。公益通報等の対象となる法令違反行為は、犯罪行為などの反社会性が明白な行為であり、秘密として保護するに値しないと考えられるため、通報をしても守秘義務に反しないと考えられます。


何でもかんでも通報されることを抑止するため、保護要件が定められています。

通報先によって保護要件は異なっていて、内部通報より外部通報の方が保護要件が厳しくなることは直感的にも理解できます。

外部通報の中でも、マスコミ等の企業外部(行政機関以外)に通報する場合は、以下の2つを満たすことが必要とのことです。

  1. 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があること
  2. 次のいずれか1つに該当すること
  • 事業者内部又は行政機関に公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合
  • 事業者内部に公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合
  • 労務提供先から事業者内部又は行政機関に公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合
  • 書面(紙文書以外に、電子メールなど電子媒体への表示も含まれます。)により事業者内部に公益通報をした日から二十日を経過しても、当該対象事実について、当該労務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該労務提供先が正当な理由がなくて調査を行わない場合
  • 個人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

2018年11月14日水曜日

[一次専門]UML

作成:2018年11月14日
専門科目(情報工学)では、UMLに関する問題が頻出で、毎年のように出題されています。

UMLと言えば、僕は「OCUPファンダメンタル」という資格を持っています。

OCUPとは「OMG認定UML技術者試験プログラム」の略で、UMLに関する知識を評価・認定するものです。

10年近く前だったと思いますが、当時クラス図とかを使ってシステム設計をバリバリ(?)やっていて、これからはUMLの時代だ!と豪語したかどうかは忘れたけれど、勢いに乗ってOCUPファンダメンタルを受験したのでした。

OCUPのWebサイトはずーっと更新されていないようで、資格そのものが無くなってしまったのかなと思ったのですが、今も存続していて、さらに「OCUP2」にバージョンアップしているようです(詳細は不明ですが)。


話が脱線してしまいました(汗)。

技術士試験の話に戻すと、UML関連問題の1つとして、ダイアグラムの概要や定義の有無などを問うものがあります。

OCUPファンダメンタル保持者としては一瞬で正解すべき問題なのですが・・・、本番で見事に間違えてしまいました。

使わなくなった知識はどんどん忘れていく・・・と言い訳しても仕方ないですよね。
復習と反省を込めて、以下にまとめていきたいと思います。

【出典:平成30年度技術士第一次試験〔専門科目〕 III-18】

業務要件定義において業務フローをUML (Unified Modeling Language) 2.0以降を用いて記述する際に,並行処理,処理の同期,処理の分岐などを表現できる図として,最も適切なものはどれか。

① アクテイビティ図
② クラス図
③ コミュニケー ション図
④ シーケンス図
⑤ ユ ースケ ース図

解答は①のアクティビティ図です。
アクティビティ図は、UML版フローチャートと捉えれば良いと思います。

ちなみに僕は本番で①と③で悩んだ末、③と答えてしまいました。
2択で悩んだ問題は大抵間違っている気がするなぁ(汗)。

ところで、④のシーケンス図も並行処理、処理同期、条件分岐を表現できるので、④も正解なんじゃないの? 日本技術士会に申告した方がいいんじゃないの?と一瞬思ってしまいました。

が、問題文の冒頭に「業務要件定義において業務フロー」を記述する場合、とあります。
ここがポイントです。

アクティビティ図は業務フローも記載できる一方で、シーケンス図はオブジェクト間のメッセージのやり取りを時系列に表現するものであり、要件定義ではなくシステム設計で用いられるダイアグラムです。

ということで、① アクティビティ図 が正解となります。
こうやって振り返ると、なかなかの良問だったんだなぁと思います。


なお、UMLについては「IT専科」というサイトに大変わかりやすくまとめられていて、各ダイアグラムの概要を把握するのにオススメです。

2018年11月12日月曜日

[一次適性]技術士CPD

作成:2018年11月12日
平成30年度の適性科目で、「技術士CPDガイドライン第3版」の穴埋め問題が出題されました。

【出典:平成30年度技術士第一次試験〔適性科目〕II-3(一部抜粋)】

[ ア ]は,技術士個人の[ イ ]としての業務に関して有する知識及び技術の水準を 向上させ,資質の向上に資するものである。

[ア]の選択肢として「継続学習」と「継続研鑽」がありました。

どちらもあり得る・・・と悩んだ末、「継続学習」を選択して見事に撃沈したのは僕です(苦笑)。


技術士CPDガイドライン第3版の用語定義によると、

CPD は、Continuing Professional Developmentの略で、継続研鑚、継続学習、継続教育、自己研鑚などを意味する。本ガイドラインでは CPDの訳語として「継続研鑽」を用いた。

とあるので、「継続研鑽」を選択すべきでした。

そもそも、当ガイドラインの表紙に

「技術士CPD(継続研鑽)ガイドライン」

と、継続研鑽ってババーンと書いてあるじゃないッスか!
CPDガイドラインを全くチェックしていなかったことがモロバレですね(汗)。


ちなみに、過去問を見ていて気づいたのですが、

平成29年:技術士CPDガイドライン 第3版 制定
平成30年度 穴埋め問題出題

平成26年:技術士CPDガイドライン 第2版 制定
平成27年度 穴埋め問題出題

となっていて、ガイドラインが制定された翌年度の試験で、穴埋め問題が出題されています(第1版を除く)。

第4版制定時もこの法則が成り立つのかどうか、今から楽しみです(笑)。

いずれにせよ、技術士試験を目指す方はCPDガイドラインを事前に一読しておくことをオススメします。

2018年11月9日金曜日

[一次基礎]単純な計算問題を見極める

作成:2018年11月09日
一次試験の基礎科目(解析)において、見慣れない数式に出くわして面食らうことがあります。

が、冷静になって問題をよく見ると、単純な計算問題に帰着できるものがあります。

例えば、以下の問題。

【出典:平成23年度技術士第一次試験[基礎科目]I-3-5】

3次元直交座標系(x,y,z)におけるベクトル

V=(Vx,Vy,Vz)=(sin(x+y+z),cos(x+y+z),z)

(2π,0,0)での発散divV=Vxx+Vyy+Vzzの値はどれか。

① 2  ② 1  ③ 0  ④ -1  ⑤ -2

「発散って何?」、「divって???」と慌ててはいけません(笑)。

問題文を見ると

divV=Vxx+Vyy+Vzz

と、定義が記載されているので、このとおりに計算すれば良いだけです。

Vxx=cos(x+y+z)

Vyy=sin(x+y+z)

Vzz=1

となるので、

divV=cos(x+y+z)sin(x+y+z)+1

よって、(2π,0,0)での発散は

divV=cos(2π)sin(2π)+1=2

以上より、解答は①となります。

この類の問題はラッキー問題として、確実に正解をゲットしましょう。

2018年11月6日火曜日

[一次専門]TCPのデータ転送量

作成:2018年11月06日
更新:2018年11月13日
前回の投稿で

確認応答(ACK)なしに一度で送信可能な最大のデータ量をウィンドウサイズと言います。

と書きました。

このウィンドウサイズに関連して、技術士一次試験ではデータ転送量の上限値を求める問題も出題されています。

【出典:平成28年度技術士第一次試験〔専門科目〕III-33】
【出典:平成24年度技術士第一次試験〔専門科目〕IV-19】

2点間でTCPを用いてデータを転送する。2Gbpsの帯域をもつ通信回線において往復の遅延が500マイクロ秒,TCPのウィンドウサイズを50kバイトとするとき,1秒当たりのデータ転送量の上限値に最も近い値はどれか。

① 20Mバイト
② 50Mバイト
③ 100Mバイト
④ 200Mバイト
⑤ 400Mバイト

問われているのはデータ転送量の上限値なので、最も転送効率が良いケースを考えます。

ここで、「ウィンドウサイズ」と「1回の送信あたりのデータ転送量」は必ずしも一致しないことは注意が必要です。

言い換えると、1回の送信でウィンドウサイズと同じデータ量を送信する場合もあれば、複数回に分割して送信する場合(合計値がウィンドウサイズと同じ)もあるということです。

それでは、1回で送信する場合と、複数回に分割して送信する場合のどちらが転送効率が良いでしょうか。

問題文に着目すると「往復の遅延」とあります。
送信するたびに送受信間のやり取りで遅延が発生するということですね。

つまり、送信回数が少ないほど遅延が小さくなるので、1回の送信でウィンドウサイズと同じデータ量を転送するのが最も転送効率が良いと言えます。


前置きが長くなりましたが、問題文に戻ると

「1回の送信(往復の遅延0.5マイクロ秒)で、ウィンドウサイズと同じデータ量(50kバイト)を転送する」

場合にデータ転送量が上限値となるので、1秒当たりの転送量は

50(kバイト)/0.5(マイクロ秒)
=50,000(バイト)/0.0005(秒)
=100,000,000(バイト/秒)
=100M(バイト/秒)

よって、答えは③となります。

2018年11月3日土曜日

[一次専門]TCPヘッダ

作成:2018年11月03日
技術士第一次試験(情報工学)では、通信プロトコルに関する問題もチラホラ出題されます。中でもTCPに関する問題が頻出です。

TCPヘッダのフォーマットは以下のとおりです(RFC793より引用)。

普段からパケット解析をバリバリやってる人はともかく、TCPヘッダの各フィールドの詳細まで覚えるのはしんどいですよね。

技術士一次試験対策の観点では、上記ヘッダフォーマットの横幅が32ビットで、だいたいこんなフィールドがあるんだなぁ程度を理解した上で、「3ウェイハンドシェイク」や「フロー制御」の概要を理解しておけば十分だと思います。

TCPパケットに関する問題は、平成30年度、平成26年度、および平成16年度で出題されています。
年度によっては適切なものを選んだり、不適切なものを選んだりといった違いがありますが、選択肢で問われている内容はほぼ同じです。

そこで、過去3年分の過去問をマージして、一問一答形式にしてみました。

【平成30年度、平成26年度、平成16年度の技術士第一次試験問題を基に作成】

IPv4のTCPパケットに関する次の記述のうち、正しいものは○、間違っているものは×を答えよ。

  1. TCPヘッダにはチェックサムフィールドがない
  2. TCPヘッダにはパケット長やデータ長を表すフィールドが存在する
  3. TCPヘッダのSYNビットは、3ウェイハンドシェイクにおける最初のパケットでは0になっている
  4. TCPヘッダのウィンドウの値を0に設定すると、送信側は送信を中断し、次に0以外の値が返されるまで待機する。
  5. TCPヘッダは送信ポート番号フィールドと受信ポート番号フィールドを含み、それぞれ32ビット長である。
  6. TCPパケットのデータフィールドは、IPパケットのヘッダ内容を含む

上のTCPヘッダフォーマットが頭に入っていれば、1,2,5,6はすぐにわかりますね。
1,2,5,6全て誤りです。

3については、3ウェイハンドシェイクの流れを理解しておく必要があります。
ざっくり書くと

① 通信要求側 → 通信相手: SYN
② 通信相手 → 通信要求側: SYN ACK
③ 通信要求側 → 通信相手: ACK (コネクション成立)

という流れとなります。

通信要求側が最初にSYNパケットを投げる際、SYNパケットであることを示すためTCPヘッダのSYNビットは1となるので、問題文の記述は誤りです。

4について。確認応答(ACK)なしに一度で送信可能な最大のデータ量をウィンドウサイズと言います
ウィンドウサイズの値が0の場合、これ以上受信できないことを表しており、送信側は送信を中断します。
したがって、問題文の記述は正しいです。


解答:
1. ×  2.×  3.×  4.○  5.×  6.×